『妄虎千夜一夜物語』

 「妄想は忘れた頃にやってくる」
 「助っ人は忘れたほうが丁度いい」
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シーズンが開幕して、リアルなタイガースの前にしばし妄想は霞んでしまうようです。 でも、そんな時も“妄想菌”はしっかり養分を蓄えているのです。いずれ訪れるかもしれない湿りっぱなしの季節に備えて、じわりじわりと……。

〜妄虎千夜一夜委員会〜

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夢十夜 第六夜 〜濁点〜
こんな夢を見た。

甲子園のバックネット裏のボックス席に私は座っていた。こんな良い席で野球を観るのは初めてだった。しかも、私の隣は木戸さん。そのまた隣には、サンテレビの谷口アナが試合の実況をしていた。
谷口アナはCMで一息ついた後、放送が再開したとき、こちらに視線を投げつつ、再び喋りだした。

「サンテレビボックス席、本日の『ファン招待席』をご紹介しましょう。大阪市から来てくれました、小学四年生のおかだかつお君です。かつお君、こんばんは。かつお君はどこのチームのファンですか?」

そういうと、おもむろに私の顔をのぞき込んだ。今、初めて知ったのだが、どうも、私は小学四年生の、「おかだかつお」というらしいのだ。プロ野球中継の今晩のファン代表なのだ。どうりで、こんな良い席に座らせてもらえるわけだ。だとしたら、試合中、二度三度は、このようなやり取りを強いられるのだろうことは、覚悟しなくてはいけなかった。
それにしても、そもそもサンテレビの招待席だというのに、「どこのファン?」は無いよなあ。「巨人ファンです!」とでも答えてやろうか、とも思ったが、小学生らしく素直に答えることにした。

「阪神タイガースです」
「タイガースでは、誰のファンですか?」


テレビで見飽きたやり取りだった。ここはひとつ、受けを狙って、「川藤幸三・・・以外全員!」とでも答えてやろうかと邪念がよぎったが、谷口アナも小学生相手のリアクションに困るだろうから、無難な答弁をしておいた。

「赤星選手です」
「ほう、赤星選手のどんなとこが好きですか?」


もう、いちいち邪魔くさいことを聞いてくるのも、いつもどおりの光景だ。「馴染めない関西の空気にもめげず、体調を崩してでも無理に関西に溶け込もうと頑張る、その“気い遣い”のところです」と、それこそ口先まで出そうになるのを、ぐっとこらえて模範解答しておいた。

「盗塁をいっぱいしてくれるところです」
「ほんと赤星選手は足が速いもんね。かつお君も野球をしているのかな?」


おいおい、甲子園に野球を見に来る小学生は、皆がみな“野球小僧”ばっかりだと見くびんなよ。本当はサッカーが一番好きなのに、阪神狂いの親父が、勝手に応募する場合だってある訳だ。でも、こんなことを口にするほど、場の空気が読めない私ではなかった。

「たまに学校で、友達と野球ごっこするくらいです」
「そんな時、かつお君も赤星選手みたいに盗塁するのかな?」


って、そこらでする野球ごっこは盗塁禁止に決まってるの。もしも盗塁ありにすれば、キャッチャーが後ろに逸らすか、暴投するに決まっているから成功率100%。おまけにエラーで、もれなく一塁ランナーはホームまで返ってしまうことになるという現実を、あんたは知らないのか?
もちろん、こんなかわい気のなさは、おくびにも出さずに答える私。

「赤星選手みたいに速くないから走りません」。
「そうですか。今日は赤星選手、かつおくんの前で盗塁決めてくれますよ、きっと」


相手が小学生だからと無責任な予言で締めくくって、このコーナーはつつがなく終わった。

「ところで、木戸さん、赤星の調子をどう見てらっしゃいます?」
「んー、まだ、あかぼしは悩んでいるようですね」


どうも耳障りな“あかぼし”という呼び方。星野SDもそうだが、“あかぼし”と濁るのは、いい加減やめてくれと思うのだ。さすがに谷口アナは聞かない振りして、どんどん話を続けるのだった。
うーん、大人だ。
でも、私は聞くところによると小学四年生。
そう、子供なんだ。
私なら言ってやれる気がした。
いや、私しか言ってやれないような気がした。
そう考えたら、言わずにおれなくなってきた。

ついに、辛抱たまらずマイクに向かって声をあげてしまった。


「いくら赤星が元JR職員やからって、JR神戸線・新快速 網干(あぼし)行きや無いっちゅうねん。素直に“あかほし”と言ってやれんか?」


もう、それだけ言い終えると、思い残すことは何も無かった。
すたこらさっさと『ファン招待席』から足早に去るのであった。
丁度、そのとき、グラウンドでは、赤星選手がバッターボックスに向かおうとしていた。


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