『妄虎千夜一夜物語』

 「妄想は忘れた頃にやってくる」
 「助っ人は忘れたほうが丁度いい」
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シーズンが開幕して、リアルなタイガースの前にしばし妄想は霞んでしまうようです。 でも、そんな時も“妄想菌”はしっかり養分を蓄えているのです。いずれ訪れるかもしれない湿りっぱなしの季節に備えて、じわりじわりと……。

〜妄虎千夜一夜委員会〜

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タイガース都市伝説(3) 『その筋のファン』
■ 『その筋のファン』

関東の地にあって、でかい声で関西弁を喋る奴がいたら、かなり
の確率でタイガースファンに見られるに違いない。
ましてや、その男が短髪もしくはパンチパーマの自由業風である
ならば、安易に「その筋」のお方とみなされかねない。

『関西人≒タイガースファン≒その筋のお方』

かくして偏見に満ちた、こんな図式が作られてしまうのだ。



        〜 Takatsukiのヒットマン 〜


私は東京の阪神ファンである。職業はタクシー・ドライバーだ。
そんな私には、シーズンが始まるこの時期だからこそ・・・
気にかけずにはいられない一つの出来事があったのだ。
今はその男が無事である事を祈らずにはいられない。
理由は、私が阪神タイガースの優勝を心から願うからに他ならない。

あれは、真冬だというのに異様に暖かい日の真夜中だった。
六本木の麻布十番にほど近い路地の入口を通りかかった私のタクシーに
その男性は手を上げて乗り込んできた。
屈強そうなその体躯と修羅場を潜り抜けてきた者が持つ独特の迫力。
人目でソレと分かる。

「・・・うわっホンマモン乗せてしもたっ」と私は心の中でつぶやく。

初老に見えるが鋭い眼光を放つその客の迫力に押されながら招き入れる。
行先を尋ねようと口を開く前にその男が言葉を発した。


男「野球、好きか?」

私「?・・・は、はい、好きですが?」

男「どこのファンや?」


私達タクシー・ドライバーとてサービス業の端くれである。
そのため、常日頃こういう問いにはお茶を濁した言い方しか出来ない。
相手の好みの球団と合致すれば良いが、答えがそうでなかった場合・・・
トラブルに発展したり、クレームを受ける場合が多々ある訳で
それらは新任研修などで管理者から口酸っぱく指導を受けているのだ。
しかし・・・


男「正直に言うてみんかいっ!! 東京人やからやっぱり読売かっ?」


関西弁の客である。この言い方からして巨人ファンでは、ないのだろう。
その有無を言わせる事のない迫力に気圧されてもはや正直に言うしかない。


私「は、阪神タイガースです・・・。」

男「お、そうか。兄ちゃん、遠くて悪いんやけどな、熱海まで行ったってくれや!!」


異様にドスの効いた低音で、そう私に告げたのである。
この仕事、長距離ほど有難い仕事はない。普通であれば。


私「あっあああ、熱海ですねっあ、ありがとうございますっ」


                 ◇


これほど熱海までの距離が長く感じるとは思わなかった。
道中、途切れ途切れに話すこの客が醸し出す異様な雰囲気に呑まれながら
会話に相槌を打つのが精一杯という状況である。


男「ワシは阪神タイガース一筋で今日まで生きてきたんじゃ。」

私「お仕事は、お忙しいですか?」と、とんちんかんな質問を試みる。

男「タマの取り方次第やな。」

私「や、野球関係のお仕事でしたか。」

男「ふっ、ヒット人じゃ。打率はそこそこやけどな。」

私「・・・はあ・・・。」何のことやら。

男「高槻市出身なんでな、人はタカツキのヒットマンと呼んどるわ。」

私「・・・」笑えるようなギャグでもない。そして、それにはお構いなく

男「阪神が強いおかげで、勇気付けられて生き延びておられるのんじゃ。」

私「はい、最近は昔のことを考えれば嘘の様に強いですからね。」

男「いや、ワシは強い時しか知らんど。全部優勝、一回だけ3着や、今まで。」

私「は?で、では最近お好きになられましたので・・・?」

男「ダイナマイト打線の1962年以来じゃ!!」

私「・・・?」

男「1964年の優勝を見届けてから20年間マカオに修行に行ってのぉ。」

私「・・・はあ・・・。」

男「1985年日本一や。1986年の夏場に仕事してな。」

私「う、うぉ・・・?」

男「2003年の春に娑婆に出たんや。夏場にした仕事でのお、暮れに逆戻りや。」

私「う、うぅ・・・?」

男「取り損ねたんでなぁ、一年で戻れた。2005年や。」

私「う、うわわわ・・・?・・・き、去年はそしたら・・・」

男「色々準備せなアカン仕事請け負ったんでな、日本におらんかったわ。」

私「・・・そそそそそそ、そうなんすか。」

男「さっきも仕事やったんじゃ。結果は実はよう分かっとらん。
  ニュースでやるやろ。これから熱海で報告終えたら出国せなならん。」


                 ◇


熱海の旅館で、その客は降りた。その頃には辺りは白み始めていた。
東京への帰路、車内でラジオを聞いていたら
六本木であった抗争事件のニュースが流れていた。


                 ◇


自分で「暁のヒットマン」ならぬ「Takatsukiのヒットマン」だと自嘲気味に言った
あの夜の客が話した事がすべて本当の事だとすると・・・
その夜の彼の仕事が成功したのか、しなかったのか
或いは出国できずに入国ならぬ入獄でもしていたら・・・優勝がないって事か。
無事に娑婆に居てくれる事を願わずにいられない。

| DoraNeko | 妄想 | comments(1) | trackbacks(0) |
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Ryuhey (2007/03/24 9:01 AM)
Doranekoさん
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

ヒット人ツボでしたwww









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